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tnaru@asean

ベトナムを中心とするアセアン(ASEAN)諸国に関する情報ページ。あと、時々書評とか。

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Category: 旧Version  Tags: ベトナム  ベトナム進出日系企業  在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査  ベトナム日系進出企業の課題  現地化  
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現地化の問題点:「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」より

ベトナム進出日系企業の様子を「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」を元に眺める、シリーズです。

今回は「経営上の問題点」のうち、「経営の現地化を進めるに当たっての問題点」です。

【シリーズ目次】
1.調査の概要と結果
2.営業利益見通し
3.今後の事業展開
4.現地市場開拓への取り組み
5.経営上の問題点
・5-1:ベトナムの課題(全体)
・5―2:販売営業面での問題点
・5-3:財務・金融・為替面での問題点
・5-4:雇用・労働面での問題
・5-5:貿易制度面での問題点
・5-6:生産面での問題点
・5-7:経営の現地化をするにあたっての問題点
6.原材料・部品の調達
7.輸出入の状況
8.賃金

1.全体では「現地人材の能力・意識の低さ」、「幹部候補人材の採用難」と「現地人材の育成が進まない」の3つがTOP3

同調査では、「現地人材の能力・意識の低さ」、「幹部候補人材の採用難」と「現地人材の育成が進まない」の3つを指摘する企業が多いようです。
(回答)
1位:「現地人材の能力・意識の低さ」58.7%
2位:「幹部候補人材の採用難」50.0%
3位:「現地人材の育成が進まない」47.1%

2.「現地人材の能力・意識の低さ」は本当か?
「現地人材の能力・意識の低さ」は58.7%の企業が現地化を進める上での問題点として指摘しています。全体回答の中でもトップとなります。

ところで、この「現地人材の能力・意識の低さ」はオーストラリアとニュージーランドを除く調査対象国・地域の全てでTOP3に上がる問題点です。実際の「現地人材の能力・意識の低さ」は各国により求めるレベルによる程度の差や、その中身は異なるかと思います。従い、ベトナムにも同じ問題があるという単純な理解はできないところです。

(「現地人材の能力・意識の低さ」の各国・地域順位)
中国3位 韓国1位 シンガポール3位 タイ2位 マレーシア3位 インドネシア3位 フィリピン1位 ミャンマー1位 インド2位 台湾3位 スリランカ1位


日系企業進出先各国でに抱える共通の問題とも言えますが、それだけで処理するには少しというか、かなり乱暴なように思います。

「現地人材の『能力』」という点では、進出先に同技術がないために思ったよりも技術移転に時間がかかるということから指摘される部分は予想できます。ベトナムへの投資進出セミナーでは、「優秀な人材」が一つの誘致に向けた売り文句であり、随分と勝手な言いがかりだなとも思います。

実際の能力に対する評価の程はわかりません。業種などによっては、ベトナム人の製造技術能力は他国と比較し、上回る生産効率を出しているなどというレポートも時々見かけます。一方で、中国から生産を移転したが、上手くいかないので中国に戻したなどという話も聞きます。まさに求める技術要素等で異なるのかもしれません。

一方で「現地人材の『意識の低さ』」は少々、いや、かなり問題です。ベトナムだけであったり、進出が間もない国だけで指摘されているなら分かりますが、調査対象国・地域のほぼ全てで指摘されている問題です。

こと、ベトナムに限った場合でも、「意識の低さ」はベトナム人だけに問題があるのでしょうか?日系企業の進出先ほぼ全ての国・地域で問題になっているのに?

一旦、日本国内に目を向けると、「部下がやる気になってくれなくて」なんていうセリフはよく聞くセリフです。また、「部下をやる気にさせる方法」なんて類のタイトルの本も書店に溢れています。部下の意識の問題もありますが、上司の管理能力にも多分に影響される問題だと思います。

また、最近では現地化に向けた人事制度面での不備も指摘されています。現地人は
なかなか権限を与えられなかったり、現地人と日本人の給与が数十倍違っていた入り…。この人事制度面の不備は完全に日系企業側に非があると思います。

3.「幹部候補人材の採用難」
調査対象企業の50%が幹部候補人材の採用難を上げ、現地化を進める上での2位の問題点となっています。

この問題は幹部候補人材が「いない」という部分もありますが、「来てれない」そして仮に来てくれても「逃げられる」という3つの問題が含まれているように思われます。

「いない」理由はベトナムにはいくつかあります。まず、これまで会社組織というものがなかった。ベトナムは1980年代までベトナム戦争やインドシナ戦争など、戦争を繰り返していました。また、ドイモイが始まった1986年まで、完全に計画経済にドップリ使っていました。戦争と社会主義体制下では民間会社組織など存在の必要性すら議論されないシロモノです。

次に、上記の事情から、1980年以降に生まれたものが、比較的柔軟に資本主義や会社組織をある程度柔軟に受け入れられる世代になります。現在はまだ30歳から25歳程度の人材です。1990年代初頭に個人の考え方が確立され始める大学生だった世代をいれても、35歳までが上限になります。

また、日系企業では言葉の問題も見過ごせません。英語ができる人材はある程度いますが、日本語ができる人材となると非常に限られてきます。ベトナムでは2000年が「日本語学習元年」と言われており、やっと日本語学習熱が出始めた程度です。

上記事情から、ベトナムに幹部候補人材の絶対数が「いない」と思われます。

また、幹部候補人材が日系企業に「来てくれない」部分もあります。これは、進出する日系企業の7割が製造業ということから、都市の郊外に立地する場合が多く、遠いので行かないという側面が一つです。また半ば企業側のおごりのようなものとがもう一つの側面です。「こっちは日系企業だぞ」とか、「こっちは有名企業だぞ」といったものです。

企業の立地と通勤の関係性は「市内30分」であり、「郊外1時間」と言われています。この原則からはみ出すと、幹部候補人材は来てくれません。幹部候補人材の絶対数が不足する「超売り手市場」です。優秀な人材ほど引く手あまたな環境があります。

また、ベトナム人にとって、日系企業は欧米系に次ぐ人気の就職先です。ただ、日系企業に関する情報は殆どありません。日本人が欧米系企業に対する情報を有していないのと一緒です。日本人がアメリカの企業に就職しようと思っても、実際には何百万以上の企業が存在するのに、知っている会社など数社に留まるのと同じ現象です。

ベトナム人の情報入手手段は企業のホームページ、友人などからの口コミと人材紹介会社等から得られる情報のみです。特に日本で東証1部上場とか、名高い名門企業といっても、まず知りません。必然、面接に行った際に見る会社の規模と雰囲気が絶対的な一時情報となり、日本では名門企業でもベトナム国内事務所が小さいと、「零細企業」と受け取られがちです。

幹部候補人材ともなれば、業務内容が非常に重要となってきます。ただ、どうしても採用する日系企業側は日本の「買い手市場」の意識が抜けきらないのと、相手が30代程度の若造であること、そして時々「こっちは名門企業」というおごりから、面接は「選ぶ」という意識が強く働きます。結果、幹部候補人材に「選ばれない」という結論を突き付けられるということになります。

また、仮に幹部候補人材を見つけても「逃げられてしまう」ことが頻繁に起こります。一つは根強い「欧米系企業への憧れ」と、もう一つは「昇進・昇給するなら転職」というベトナム人の考え方と、独立というベトナム人の多くが持つ「夢」です。

「欧米企業への憧れ」では、欧米企業の方が権限が与えられたり、給与が良かったり、さらには紳士的に接してくれる部分が半ば本当であり、半ばイメージとしてベトナム人の間に根付いています。欧米系といっても零細系企業もあったりするのですが、「欧米系=憧れ」の心理的要素は非常に大きなものとなります。

また、「昇進・昇給するなら転職」という考え方が基本にあります。実際、日系大手企業の幹部候補人材が欧米系大手企業の幹部として迎え入れられることがあります。理由は昇給もさることながら、権限が大きいということがもうひとつの大きな理由のようです。

最後に、「優秀な人間は独立して一国一城の主」といった考え方が今のベトナムの主流です。これだけ勢いよく経済発展している中、組織に属して安定を手に入れるより、自分の力を試したいという気持ちは非常によくわかる所です。

4.現地人材の育成が進まない。
現地化の課題として、3位に47.1%の回答率で、「現地人材の育成が進まない」ことが指摘されています。

これは、「育成が進まない」のではなく「育成している間にいなくなる」が適切なのではと思います。

現地従業員の育成のために、多くの日系進出企業がお金とエネルギーをかけています。社内研修コースを実施したり、日本へ研修に送り出したり…。ただ、研修が終わった途端に転職されたりしているようです。

上述した、「幹部候補人材の採用難」の採用しても逃げられるの部分でも述べたのですが、この「逃げられる」という現象が日系企業にとって扱いずらい問題のようです。日系企業は当然「終身雇用」の企業文化を持っており、育成にも「終身雇用」の意識がどうしても抜けきれない部分があります。必然「育成している間にいなくなる」という問題との格闘になります。

各社頭を悩ませている問題のようです。

参考までに、欧米系企業でも研修を実施しています。恐らく、日系企業よりも予算を積んでいます。そして、当然日系企業と同じく、研修実施後に転職をされているようです。しかし懲りずに研修予算を積み、研修を実施していきます。

この意識はどこから来るのでしょう???推測ですが、「研修が充実している」ということが、人材採用時に非常に有利に働きます。また、その人材が転職後も昔の企業を良く話すことに繋がるので、優秀な人間が入れ替わり立ち替わり集まるという現象に繋がるのではと思います。あくまでも、推測ですが。

5.まとめ
ベトナムへ進出する日系企業から、現地化への課題は「現地人材の能力・意識の低さ」、「幹部候補人材の採用難」と「現地人材の育成が進まない」の3点がTOP3として指摘されています。全て人材に関する問題点です。

ベトナム人側に意識の返還を求める一方で、日系企業側が考え方を現地化へシフトすべき点もいくつかあるのかと思います。人事・給与評価制度の再構築や、管理職としての日本人の能力アップ、そして売り手市場下での採用方法の検討など。

しかし、究極のポイントは「終身雇用」を前提とする日系会社文化や行動様式を、如何に「転職」が日常化するベトナムへ応用していくかという工夫かと思われます。

具体策はどの企業もまだ見出せていないようです。個人的には日本人との「権限・給与格差」と「研修」がキーワードになるのかと思います。
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テーマ : ベトナム    ジャンル : 海外情報


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プロフィール

tnaru

Author:tnaru
30代 男
ベトナム在住。ベンチャー企業で働いてます。
将来はベトナムを中心としたASEAN諸国で何かしたいと思っています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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