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ベトナムを中心とするアセアン(ASEAN)諸国に関する情報ページ。あと、時々書評とか。

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ベトナム進出日系企業の様子:「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」より②

ベトナム進出日系企業の様子を「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」を元に、眺めてみたく思います。

今回は同調査の最初の項目である「営業利益」を中心に眺めてみたく思います。

【シリーズ目次】
1.調査の概要と結果
2.営業利益見通し
3.今後の事業展開
4.現地市場開拓への取り組み
5.経営上の問題点
6.原材料・部品の調達
7.輸出入の状況
8.賃金

1.本業の儲けを示す営業利益とは?
同調査結果を見るまえに、「営業利益」についてのおさらいです。海外進出する日系企業の「営業利益」を見るにあたって、特徴のようなものをまとめておこうと思います。

「営業利益」とはよく「本業の儲け」といわれます。本業の儲けとは、売上から本業を実施するにあたり必要な費用(部材調達費や、人件費、事務所経費など)を差し引いた額です。

ここで、ベトナムということを踏まえて、この営業利益つについて考えると、以下のことが言えると思います。

【営業利益計算に含まれるもの】
―海外投資資金は売上原価に含まれるため、営業利益計算に含まれています。
海外に拠点を作るには事務所や工場・設備などが必要です。この時に、特に製造業である場合、数千万円から数十億円といった資金が必要となります。この投資資金は「減価償却費」と呼ばれ、複数年で費用計上を実施していきます。この際、この「減価償却費」は売上原価に含まれるため、大規模投資を実施した企業ほど売上原価が大きくなります。

【営業利益計算に含まれないもの】

―ベトナム国内で資金調達に要した費用は営業利益算出時に含まれていませ。
・ベトナム国内で資金調達をしている場合、ベトナム国内金利10%を考えるとかなりの資金調達コストが発生していると思われます。この資金調達コストは営業利益算出時には含まれません。殆どの在ベトナム日系企業はベトナム国内での資金調達はしていないようですが。

―海外送金手数料は営業利益算出時に含まれていません。
・通貨の海外送金には海外送金手数料が発生します。この費用は営業利益算出時に含まれていません。この費用はバカにできないもののようです。時々、同費用を節減するために、日本一時帰国時に「手荷物」として「現金」で持ち帰る話を聞きます。

蛇足ですが、この時に外貨持ち出し制限額を超えて実施すると、空港で現金没収となります。ベトナムの空港は日本のODAで作られており、設置される機材もいいものが置かれています。従い、かなりの精度で手荷物に現金のあるなしを判別できるようです。

―為替手数料は営業利益算出時に含まれていません。
・ベトナムではベトナムドンでの商取引が義務付けられています。しかし実態はアメリカドルを中心に見積・契約を実施し、ベトナムドンで請求することが一般的です。この場合、当然為替手数料や為替損益が発生します。これら費用は営業利益に含まれていません。

ということで、ベトナムであれば常態化する為替や送金費用は営業利益の算出に含まれていません。従い、日本で日本の企業を見る時と同じ感覚で、営業利益を理解すればいいのかと思います。

2.在ベトナム日系企業は他国・地域と比較して、大企業より中小企業の方が儲かっている?
在ベトナム企業の66.7%が2010年の営業利益を「黒字」と回答しています。これは全体平均の回答「69.4%」と比較すると低い数字になります。

また、上記回答を企業規模別で全体平均と比較すると、興味深い結果が見えてきます。

【調査対象国・地域平均】
―大企業(回答数:2,278)―
黒字:75.2%
均衡:13.7%
赤字:11.2%
―中小企業(回答数:1,186)―
黒字:58.3%
均衡:24.8%
赤字:17.0%

【在ベトナム日系企業】
―大企業(回答数:78)―
黒字:65.4%
均衡:10.3%
赤字:24.4%
―中小企業(回答数:66)―
黒字:66.7%
均衡:16.7%
赤字:16.7%

上記数値より、在ベトナム日系企業のうち、大手企業が全体平均と比較して利益を出していないことが見えてきます。また、大企業で「赤字」と回答した比率は調査対象国・地域平均と比較して13.2ポイントも高くなっています。

ここから、ベトナムでは大企業が苦戦している姿が見えてきます。参考までに大企業の「赤字」の回答率「24.4%」は、同調査対象国・地域の中でインドの「25.9%」に次ぐ、ワースト2位となる高い回答率になります。

一方、ベトナムに進出する中小企業が躍進している姿が、同回答より見えてきます。「黒字」と回答した「66.7%」は調査対象国・地域の平均値である「58.3%」を12.4ポイント上回っています。また、この回答率は他の調査対象国・地域と比較すると、インドネシアの「68.4%」に次ぐ、2位の結果となります。

この現象がなぜ生まれるのか、同調査結果でははっきりしていません。

以下、推測です。

―大企業は大型投資をしている場合が多く、営業利益の黒字化まで至っていない。
実際、大企業製造業がベトナムで生産拠点を設ける場合、数億円以上の投資金額といわれています。従い、この投資金額の償却が終わるまで「赤字」となる場合が多いと思います。

―大企業はまだ「様子見」の傾向がある。
日本では大企業と呼ばれる企業でも、他国と比較し小規模工場に留めておくだけであったり、数名から数十名規模の事務所を構えだけといった企業も多くあります。
これは、「未だベトナムでは本腰を入れるまでの市場規模となっていない」、もしくは「政府規制・市場規制等で自由に活動できない」等が原因かもしれません。

いずれにしろ、「本気」よりも「様子見」とする大企業が存在するのは確かなように思えます。

―中小企業のベトナム進出はいつでも「本気」
中小企業がベトナムへの進出を決めるにあたり、「本気」でなければ進出しない傾向にあると思います。逆に言うと、「様子見」で進出ができる余裕はないと言えるかもしれません。

ベトナムに進出する中小企業は「仕方なく」と「攻めるため」の2つの理由のいづれかからベトナムへ進出しているように思われます。いずれの企業が「黒字」なのか同調査では分かりません。ただ、中小企業がベトナムでは2010年は「黒字化率が高い」ということが分かります。

3.2007年から2010年の間で、ベトナムは黒字企業の割合変動が大きい
同調査が指摘しているポイントに、「ベトナムは黒字企業の割合が大きい」とする部分があります。

「黒字企業割合」を2007年からの時系列で示した場合、他の調査対象国・地域と比較しても変動幅が大きいことが分かります。2007年は50%半ばのベトナム進出日系企業が「黒字」と回答していますが、2008年はその回答率は40%台後半に下がり、2009年は40%の企業が「黒字」と回答しています。

2010年の黒字回答率「66%」は前年の約25ポイントの急増であり、その変動幅が大きいことが伺えます。

4.設立5年未満の企業が多いベトナムはまだ安定していない。
上記のベトナム進出日系企業の黒字割合変動が大きい理由として、「設立5年未満の企業が多い」ということがあげられるかもしれません。

同調査回答企業の進出年別企業数は下記の通りです。
【進出年別回答企業数】
1991年ー1995年:12社
1996年ー2000年:38社
2001年ー2005年:39社
2006年ー2010年:56社
(回答企業数合計:145社)

これは同調査対象企業がたまたま進出後間もない企業となったというわけではないと思います。

ベトナムには過去2度の進出ブームと言われた時期が1990年代後半と2000年半ばにありました。まさに日系企業が進出を最近始めた国ということから、この現象がみられるのかと思います。

他の調査対象国・地域と比較すると、2000年前後に日本企業の進出が本格化したのはインドのみとなります。その次に海外進出が本格化した国は1990年初頭から日系企業の本格進出が始まった中国になります。

他の諸国・地域は既に日系企業が本格進出しているか、未だ本格進出していない国・地域となります。1970年代や1980年代から既に日系企業の進出は始まっている代表的な国は、香港(1970年代)、シンガポール(1970年代)、オーストラリア(1970年代)やタイ(1980年代)・マレーシア(1980年代)となります。

また、カンボジア、ミャンマー、バングラディシュなどは注目はされているものの、未だ本格的な日系企業の海外進出先とまではなっていない国・地域となります。

海外進出が古くから本格化している国では、当該国での事業展開・運営ノウハウは蓄積されており、比較的安定的に黒字化されているようです。

一方、ベトナムのような最近日系企業の進出が活発化したような国では、事業展開・運営ノウハウが蓄積されておらず、多くの企業が悪戦苦闘しているのかもしれません。

なお、同調査では設立後5年未満の企業比率が高い国では黒字化比率も低いとしています。

5.2010年より2011年に期待する在ベトナム日系企業が多い:国内マーケット狙い?

ベトナムに進出する日系企業は今年(2010年)よりも来年(2011年)に営業利益が「改善する」と見通す企業が多くなります。

また、同見通しを調査対象国・地域平均と比較しすると、より強気傾向であることが見えてきます。

2010年の営業利益見込みが「改善する」と回答した調査対象国・地域の全体平均は「58.8%」でしたが、ベトナムは同数値が「55.6%」と平均を下回っていました。一方、2011年の営業利益見通しで「改善する」と回答した調査対象国・地域の平均値が「54.9%」であるのに対し、ベトナムは「63.6%」が改善すると回答しています。

同調査では、全体平均の推移いとして、2009年の不調に対する反動要因により2010年は改善すると回答する企業が増えたとしています。2011年は他国・地域は若干落ち着きを取り戻したのかもしれません。

また、同調査では人口の多い地域で2011年は「改善する」と回答する企業数が多い傾向にあると指摘しています。実際、「改善する」との回答率が高い上位4カ国を見ると、約1億人以上の人口規模をほこる国となります。

【2011年は営業利益が改善すると回答した国上位4カ国】
1位:インド(約10億人)
2位:インドネシア(約2億2千万人)
3位:バングラディシュ(約1億5千万人)
4位:ベトナム(約8000万人)

上記より、進出国の国内需要に期待して営業利益が「改善する」と回答した企業が多いことが伺えます。

ベトナム進出日系企業も来年よりベトナム国内マーケットを狙い行く企業が増えることが予想されます。なお、ことベトナムにおいては、「輸送機械器具」及び「鉄・非鉄・金属」の各業種でその回答割合が高かったようです。

ベトナム国内でのモータリゼーションの活発化と、不動産開発やインフラ整備の好調さが、同数値を示しているかと予想されます。

6.まとめ
同調査対象国・地域全体の営業利益は2011年も好調が期待できると言えるかと思います。

また、その傾向はベトナムにおいて非常に高いものになります。この背景にはベトナム国内市場を狙いに行く企業が増えてきたことがあるのではと推測されます。

ベトナムで「ものを作る」だけでは来年の営業利益改善は強く期待できません。一方、ベトナムで「ものを作って、売る」もしくはベトナムで「売る」という計画を立てている企業は来年に対して、明るい見通しを立てていると言えるかと思います。

一方、ベトナムに進出した多くの企業はまだ現地での活動を開始したばかりです。このことから、ベトナムでの事業展開・運営ノウハウが不足がちとなります。であることから、2011年に対して楽観視だけをするわけにもいきません。

では、ベトナムに進出する日系企業が今後どのような事業展開を描いているのか、同調査3章の「今後の事業展開」をベースに、次回は眺めていきたく思います。
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テーマ : ベトナム    ジャンル : 海外情報


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プロフィール

tnaru

Author:tnaru
30代 男
ベトナム在住。ベンチャー企業で働いてます。
将来はベトナムを中心としたASEAN諸国で何かしたいと思っています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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